「今日の献立、緑黄色野菜が足りないですね」
給食委託会社にいた10年で、何度も言われた言葉です。
はじめまして、坂口綾乃と申します。
保育園と特養の給食をつくったあと、いまは子育て支援センターで離乳食と幼児食の相談を受けています。
にんじんもほうれん草も入っていない日は、キャベツや大根がどれだけ並んでいても「野菜が薄い献立」と見なされます。
当時は私も、そういうものだと思っていました。
考えが変わったのは、成分表の数字を一つずつ拾うようになってからです。
緑黄色野菜と淡色野菜を分けているのは、ひとつの成分だけです
厚生労働省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の取扱いについてという通知には、緑黄色野菜とは原則として可食部100gあたりのβ-カロテン当量が600μg以上のもの、と書かれています。
基準はβ-カロテン当量ひとつだけで、ビタミンCもカルシウムも食物繊維も、この線引きには関わっていません。
同じ通知には例外も明記されています。
600μgに届かなくても、トマトやピーマンのようによく食べられる野菜は緑黄色野菜として扱う、という運用です。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年で確認すると、トマト(生)は540μg、青ピーマン(生)は400μgです。
どちらも基準を満たしていません。
一方できゅうりは330μg、なすは100μgで、こちらは淡色野菜です。
トマトとの差は210μgですが、区分は分かれます。
どの野菜が緑黄色野菜なのかは、緑黄色野菜の基準と種類を一覧で解説したページにまとまっています。
数字を並べると、淡色野菜が上回る栄養素があります
β-カロテン以外はどうなのか。
同じ成分表から、可食部100gあたり(すべて生)の値を並べます。
| 野菜 | 区分 | ビタミンC | 食物繊維 | カリウム | 葉酸 |
|---|---|---|---|---|---|
| カリフラワー | 淡色 | 81mg | 2.9g | 410mg | 94μg |
| キャベツ | 淡色 | 38mg | 1.8g | 190mg | 66μg |
| ごぼう | 淡色 | 3mg | 5.7g | 320mg | 68μg |
| にんじん(皮なし) | 緑黄色 | 4mg | 2.8g | 300mg | 23μg |
| トマト | 緑黄色 | 15mg | 1.0g | 210mg | 22μg |
ビタミンCは、カリフラワーの81mgに対してにんじんが4mgです。
食物繊維はごぼうの5.7gが、トマトの1.0gの5倍以上あります。
もちろん、β-カロテンだけは話が別です。
にんじんは7600μg、キャベツは24μgで、桁が違います。
緑黄色野菜という分類そのものは間違っていません。
正しいのは「β-カロテンが多い野菜のグループ」という一点だけです。
そもそも「淡色野菜」は正式な呼び名ではありません
先ほどの通知に載っているのは、緑黄色野菜の一覧表だけで、淡色野菜という言葉は出てきません。
国民健康・栄養調査でも、野菜類の内訳は「緑黄色野菜」と「その他の野菜」に分けられています。
淡色野菜は、あくまで通称なのです。
厚生労働省の令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要によると、20歳以上の1日の野菜摂取量は平均258.7gでした。
うち緑黄色野菜が80.2g、その他の野菜が178.6gです。
私たちが食べている野菜の、およそ7割が「その他の野菜」です。
給食の現場で、私が最終的にやっていたのは次の3つです。
- 1食ごとではなく1週間の献立表を横に見て、緑黄色野菜の入り具合を確かめる
- にんじんを入れられない日は、無理に足さずキャベツや大根を増やす
- ビタミンCをあてにする日は、ゆで時間を短くするか汁ごと食べる料理にする
3つ目は家庭でも使えます。
キャベツのビタミンCは、ゆでると38mgが17mgまで減ります。
何を選ぶかと同じくらい、どう食べるかで数字は動きます。
まとめ
緑黄色野菜と淡色野菜を分けているのは、β-カロテン当量が600μg以上かどうかという一本の線で、栄養全体の優劣ではありません。
献立に緑黄色野菜が入らなかった日を、失敗だと思わなくて大丈夫です。
大根と玉ねぎの味噌汁も、キャベツの千切りも、きちんと野菜として働いています。

